「伊藤 若冲 画選」を観る 2

「伊藤 若冲 画選」を観る 2

本編は、
●印、「若冲 画選」恩賜京都博物館 編纂(昭和2年12月)・
国立国会図書館蔵、のものを掲載し、あくまで趣味的に見ていきます。
今回のものは、番号も所蔵先も表記が無いので付記しました。
* は、投稿者の付記。

(続き)

●21・葡萄雙鶏図

米斗翁 行年七十七歳画
寛政4年(1792年)の作。
21葡萄雙鶏図-0114_0000.jpg



●22・垣豆群虫図
垣豆群虫図(かきまめ ぐんちゅうず)
本画選の昭和2年以降、初めて85年ぶりに、平成24年(2012年)3月17日~5月6日、府中市美術館の「三都画家くらべ」展で展示された。

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●23・榮蟲図 (巻物)
*菜蟲譜(さいちゅうふ) 重要文化財(平成21年7月)
巻頭に菜蟲譜の題字がある。
寛政2年(1790年)頃(若冲40歳代)完成。
絹本着色 
縦 31.8cm
横 1095.1cm
約11m近い巻物に、次々と登場する野菜や果物は約百種類、昆虫や爬虫類は約60種に及ぶ。
*この作品も昭和2年の本画選以来、所在不明となったが、展覧会から73年後の平成11年(1999年)、栃木県佐野市の旧家・吉澤家が、伝来する美術品を町に寄贈するために蔵の調査を行っていたときに発見された。
以後、初めて、佐野市立吉澤記念美術館・特別企画展示 東と西の蕪村 (2016年10月29日~12月11日)で展示されている。

● 菜蟲譜は、2024年12月3日(火曜日)~15日(日曜日)に佐野市立吉澤記念美術館で展示された。
●23・●24についてのさらなる詳細は、佐野市立吉澤記念美術館のHPを参照。

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●24・栄蟲図 (巻物)
*上記、●23の菜蟲譜(さいちゅうふ)の続き。
巻頭の題字は、書家福岡撫山、、巻末の跋文は、大坂の詩人・書家の細合半斎によるものであつ。
下段は、巻末の部分。
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●24・鷙鳥図  (右側)
鷙鳥(しちょう・*ワシやタカなど、他の動物を捕らえて食う鳥。猛禽 (もうきん)。
款 米斗翁 八十一歳画  
幻々旻為牧 讃
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蟹図 (左側)
横井 也有 讃
*横井 也有(よこい たゆう)は、江戸時代の武士、国学者、俳人。
尾張藩の銃陣で、武芸、詩歌、絵画、音曲など多芸多能で知られた。
俳文集「鶉衣(うずらごろも)」で知られる。
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●26・蒲菴和尚 自画像 
*蒲菴 浄英(ほあん じょうえい)禅師は、萬福寺・第23代住持、萬福寺 塔頭 宝善院・5代住持で、若冲と親交が深かった。
寛政8年(1796年)10月1日、世寿75歳。
款 米斗翁 八十二歳画 

26-蒲菴和尚 自画像 0139_0000.jpg


萬福寺 塔頭 宝善院の表門
IMG_9287 表門.JPG



●27・花弁図 (格天上板)
花卉図(かきず)。
信行寺(京都市左京区北門前町)の天上画。

信行寺
IMG_4637 信行寺.JPG

若冲、最晩年の83歳頃に描いたと云われている。
元は、若冲が晩年を過ごした石峰寺(京都市伏見区深草石峰寺山町)の観音堂の天井画だったが、明治初期に古美術商の手から信行寺の檀家(だんか)が買い取り、寄進したと伝わる。
花卉図には、牡丹・菊・梅・紫陽花・菖蒲・朝顔など167図がある。
本花卉図については、朝日新聞出版編 『若冲の花』 辻惟雄監修、朝日新聞出版、2016年 に詳しい。

以下の(●27~●30)の8点の花卉図は、本「伊藤 若冲 画選」恩賜京都博物館 編纂(昭和2年12月)・国立国会図書館蔵 に収載されているものである。

款 米斗翁 八十八歳画

27-花弁図0144_0000.jpg


● 参照 
*上記と同様のデザインと思われます。
「若冲画譜」より。
8 IMG_0060 (640).jpg

同上・「若冲画譜」より
1 IMG_0280  ●(640) - コピー.jpg



●28・花卉図 (格天上板)
花卉図(かきず)。
信行寺(京都市左京区北門前町)の天上画。
以下、同上。

款 米斗翁 八十八歳画
28-花弁図0149_0000.jpg



●29・花弁図 (格天上板)
花卉図(かきず)。
信行寺(京都市左京区北門前町)の天上画。
以下、同上。

款 米斗翁 八十八歳画
29-花弁図0154_0000.jpg



●30・花弁図 (格天上板)
花卉図(かきず)。
信行寺(京都市左京区北門前町)の天上画。
以下、同上。

款 米斗翁 八十八歳画
30-花弁図0159_0000.jpg



●31・雪梅雄鶏図
建仁寺 塔頭 両足院 蔵
款 平安城 若冲居士 藤汝釣画 於錦街陋室
31-雪梅雄鶏図0164_0000 .jpg

(参考・図録の一部より)
図録『若冲誕生』 より
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●32・鸚鵡図
鸚鵡(オウム)

心遠館若冲製 古賀 侗菴讃

*心遠館(しんえんかん)は、若冲の画号。
*古賀 侗菴(こが どうあん)は、戸時代後期の朱子学者、昌平黌(しょうへいこう)儒者。
侗庵・蠖屈居・古心堂と号した。
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鸚鵡が止まっているTの字の台は赤、緑、群青で装飾的に彩色されており、草堂寺 蔵(和歌山県指定文化財 鸚鵡図)の鸚鵡図と酷似している。
だが、これより確定的なものは、下の参照図である。

●参照図
昭和58年5月17日~6月26日、京都国立博物館で開催された「ボストン美術館所蔵 日本絵画名品展」の展示目録より。
*この目録の説明文によると、
鸚鵡図 伊藤若冲筆 一福
絹色着色  107.6cm x 49.1cm
江戸時代18世紀
・・なおボストン美術館にはいま一点、横幅の「鸚鵡図」が所蔵される。と、ある。
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●33・野菜雙鶏図  (衝立)
詳細、不明。

款 若冲居士
33-野菜雙鶏図0174_0000.jpg



●34・芭蕉図
相国寺塔頭・大光明寺 蔵
梅荘 顕常(大典禅師) 賛
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「大本山 相国寺と金閣・銀閣の名宝」出品(目録)   
会期 2022年11月26日(土)~2023年1月22日(日)
43 伊藤若冲筆 梅荘顕常賛 芭蕉図 江戸時代18世紀
紙本墨画 151.3×68.5 大光明寺 。に、該当か。


現在の相国寺塔頭・大光明寺 山門
■山門。  IMG_9877★日記1 (2013_10_07 22_15_30 UTC).JPG



●35・売茶翁像
大典禅師 讃

*大典禅師(だいてんぜんじ)は、漢詩人、禅の高僧で、相国寺第113世である。
顯常は諱であり、大典は号で、大典禅師と呼ばれる。
わが国初の茶経への注釈書「茶経詳説」を相国寺のもとで著す。
若冲との親交は、相国寺派寺院に伝来する多くの作品から伺える共に、よく知られる。

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*「売茶翁の生涯」 2016年7月
ワデル、ノーマン【著】〈Waddell,Norman〉/
樋口 章信【訳】の 表紙絵と同じもの、と思われる。



●36・紫陽花雙鶏図
密山 和尚 讃
*密山(みつざん) 和尚は、京都市伏見区深草石峰寺山町・石峰寺の七代住職。
和尚の協賛を得て、十年余りをかけて五百羅漢の下絵を描いた。
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●37・蝦蟆鐵拐図  (雙幅)
*蝦蟆鐵拐(がま てっかい)
蝦蟆(がま)仙人と鐵拐(てっかい)仙人2人を主題として、画題の一つとなっている。
蝦蟆(がま)仙人は、「青蛙神」を従えて妖術を使うとされる。
鐵拐(てっかい)仙人は、中国の代表的な八仙の一人で鉄拐李とも呼ばれる。
借屍還魂(しゃくしかんこん、屍を借りて魂を還す)の戦術を使うと云う。
37-蝦蟆鐵拐図0194_0000.jpg



●38・大黒天図
布袋図 白歳 外二名 讃
*詳細、不明。
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●39・釈迦如来像
*詳細、不明
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●40・花鳥図  (六曲屏風)
*詳細、不明
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●41・伏見人形図

*伏見人形図  一幅
紙本着色
縦 107.5cm
横 28.3cm
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*2016年10月4日~12月4日 「生誕300年記念 若冲の京都 KYOTOの若冲」
(旧)京都市美術館で展示された。
図録の一部
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●42・猛虎図
*石峰寺蔵
*若冲の展示会で、しばしば、見受けられる。
石峰寺の御朱印帖に、この「虎図」のものがある。

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●43・石燈籠図    (六曲屏風)
*京都国立博物館 蔵
紙本墨画金泥引
縦 159.0cm 横 363.0cm
*本図は、本「伊藤 若冲 画選」に収載されて以降、近年、再度、現れた。
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*2016年10月4日~12月4日 「生誕300年記念 若冲の京都 KYOTOの若冲」
(旧)京都市美術館で展示された。

本「伊藤 若冲 画選」では、モノクロ写真であったが、今回の図録ではカラーで、その解説文では、「・・拡大図をよく見てほしい。若冲は同じ形の点描を用いているのではなく、無数の点描のそれぞれを微妙にちがえて描いていることがわかる。点描風なのではなく、御影石の表面をリアルに描いているのである。・・」と、ある。

図録の一部
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●44・石燈籠図
*京都国立博物館 蔵
  同上。
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●45・雙鶏図
*詳細、不明。
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この編、了。


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